2011年06月05日

標章が商標として使用されているか否かの判断事例−「Quick Look」事件

事件番号 平成22(ワ)18759
事件名 損害賠償請求事件
裁判年月日 平成23年05月16日
裁判所名 東京地方裁判所
裁判長裁判官 大須賀滋

1 被告各標章が商標として使用されているか否か(争点(1)ア)について
 商標は,当該商標を使用された結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの(商標法3条2項),すなわち自他商品識別機能及び出所表示機能を有するものとして登録されるのであるから,ある標章の使用が,商標権者の登録商標を使用する権利(同法25条)の侵害行為又は侵害とみなされる行為(同法36条1項,37条)といえるためは,当該使用される標章が自他商品識別機能及び出所表示機能を有する態様で使用されていることが必要である。
 ・・・

 このような甲47のウェブページに接したコンピュータ商品およびOS商品の需要者は,「Quick Look」が,ファイルを開かずにフ ァイルの内容をすばやくプレビュー表示するという機能を有する,被告のOSソフトウェア商品である「Mac OS X」の主なアプリケーションの一つであると認識し,被告標章1も,当該機能を有するする,被告のOSソフトウェア商品の主なアプリケーションの一つを表示するものと認識すると認められる。
 そして,被告は,・・・プログラム(プラグイン)を作成するために必要な技術仕様を公開,提供していることが認められる。

 しかしながら,前記アのとおり,被告は,ファイルを開かずにファイルの内容をすばやくプレビュー表示するという,被告OSソフトウェア商品が有する機能を「Quick Look」(クイックルック)と表示していることが認められるところ,後記エのとおり,被告は,当該機能を使えるようにするためのプログラム(プラグイン)を作成するために必要な技術仕様の公開,提供をしていることは認められるものの,当該プラグインを自ら作成したり,これを配布したりするなどの行為を行っていると認めることはできないから,結局,被告が被告のOSソフトウェア商品の主なアプリケーションの一つとして表示する「Quick Look」(クイックルック)は,被告のOSソフトウェア商品の有する当該機能を,被告のOSソフトウェア商品の「アプリケーション」と称して表示したものにすぎないというべきである。

 そうすると,・・・「Quick Look」との表示は,・・・機能の一つを表示したものであり,・・・需要者は,「Quick Look」が,・・・機能を表示するものであると認識するものと認められるが,他方で,被告のOSソフトウェア商品の出所については,甲47のウェブページの「Quick Look」の表示がその左上部に記載された,「Mac OS X」の一機能として記載されていることからすると,被告のOSソフトウェア商品の出所については,その左上部に記載された「Mac OS X」の標章から想起し,「Quick Look」の語から想起するものではないものと認められる。

 したがって,被告標章1が甲47のウェブページにおいて被告OSソフトウェア商品の自他商品識別機能・出所表示機能を果たす態様で用いられているものと認めることはできないから,甲47のウェブページにおける被告標章1の使用は,商標としての使用(商標的使用)に当たらない。
posted by ごり at 14:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 商標法
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