2007年06月30日

会社法8条の「不正の目的」

事件番号 平成19(ネ)10001
事件名 商号使用禁止等請求控訴事件
裁判年月日 平成19年06月13日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 その他
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 飯村敏明

『第3 当裁判所の判断
 当裁判所も,被控訴人につき,「不正の目的」があったものと認めることはできず,控訴人の本訴請求は棄却すべきものと判断する。その理由は,次のとおり訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」記載のとおりであるから,これを引用する。
1 原判決の訂正
(1) 原判決12頁20行目以下13頁7行目までを次のとおり改める。
「(1) 「不正の目的」の意義(1) 「不正の目的」の意義
ア会社法8条は,「不正の目的」をもって他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならないとし,当該使用行為によって営業上の利益を侵害され,又は侵害されるおそれのある会社は,このような使用行為に対して差止めを請求することができる旨を規定する。

 平成17年法律第87号による改正前の商法(以下「旧商法」という。)の下において,自己の商号等と同一又は類似する商号を使用された者の救済については,旧商法20条及び21条が設けられていた。
このうち,登記された商号の使用に対する救済に関する規定(旧商法20条)については,専ら不正競争防止法2条1項1号等にゆだねられるものとして廃止されたが,他方,「不正の目的」による商号使用に対する救済に関する規定(旧商法21条)については,不正競争防止法では十分に保護されない場合がなお存在するものとして,会社法8条(株式会社等につき)が引き継いだ


 ところで,会社法8条(旧商法21条)は,故意に信用のある他人の名称又は商号を自己の商号であるかのように使用して一般公衆を欺くというような反社会的な事象に対処すること等を目的として設けられたものであること,同条は,不正競争防止法2条1項1号のように他人の名称又は商号が「周知」であることを要件とせずに,営業上の損害を受けるおそれのある者に差止請求権を付与していること,後に名称又は商号の使用を行った者が,その名称又は商号の使用を禁止される不利益も少なくないこと等の事情に照らすならば,同条にいう「不正の目的」は,他の会社の営業と誤認させる目的,他の会社と不正に競争する目的,他の会社を害する目的など,特定の目的のみに限定されるものではないが,不正な活動を行う積極的な意思を有することを要するものと解するのが相当である

イ この点について,控訴人は,「不正の目的」について,@同一又は類似商号を使用する会社が存在すること,当該会社との同一性につき第三者が誤認混同する可能性が高いこと,それによって当該会社に何らかの不利益が生ずることを認識しつつ,あえて同一又は類似商号を使用又は登記する意思があれば足りる,A特別な理由もなく,同一又は類似商号を自己の商号として使用する者については,「不正の目的」を推定すべきである,B競業関係にある会社間であれば,同一又は類似商号の存在の認識及び競業関係の認識が存すれば足りる,などと主張するが,前記の説示に照らして,採用できない。』
posted by ごり at 11:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 会社法